軍事が国家のコア機能なら

鮎原人

2012年11月21日 17:44

近代国家が欧州から始まったとすれば、その成り立ちは陸続きだったことを前提からは外せないだろう。

つまり外部からの侵略から守る体制としての国家だ。

ならば軍事力は国家を成り立たせる基本の機能である。


翻って我が国は、四方を海に囲まれ、一時期の鎖国政策の助けもあって、

国家の成り立ち、そもそも国家意識を欠いたまま近代に突入してしまった。

明治維新後、それまで国=藩であったものが、いつの間にか「日本」というものが登場し、

「日本人」 というものが生まれた。

急に日本人と言われて、人々は戸惑ったに違いない。

つまり日本人とは、国際関係からみた 「民」のくくりであり、

国際意識の希薄だった同時、ピンとこなかったのも頷ける。


時代を経て現代ではどうであろう。

クローバル化という、定義も曖昧な言葉に任せるなら、

少なくとも明治時代より現実感をもって理解されるようになっていると思われる。

しかしだ。

欧州発国家の基本機能が軍事である以上、グローバル化の意味に軍事が含まれてない訳は無く、

日本以外の国では軍事を含めた国の形は当たり前のことと理解されているに違いない。


一方日本ではどうであろう。

グローバル化は経済面だけがクローズアップされて、「国家」全体としてのグローバル化が議論されたとは聞いたことが無い。

つまり軍事の扱いだ。

特殊なグローバル化ではなく、一般的なグローバル化を進むのであれば、

このキーワードは避けては通れないのは理屈だと思うが、

TPPのことばかりが争点になり、

そもそも日本がどのような「体制」で今後の世界に打って出るのか、

どの政治家からも聞いたことが無い。


マニフェスト、公約などはどうでもいい。

その時々の状況に応じて、最善な、最良な対応がとれる人物に権力を預けるのが投票行為だと思うから。

これだけ流動的な時代にあって一時の約束など意味が無いし、増して守るかどうかの議論など時間の無駄なのである。

厳しい経済情勢にもまれる一般企業であれば、新任時の社長が語った方針が、退任時まで有効だろうか? 否である。

むしろ毎日変更されてもいいくらいだ。

しかし、社是は大事なのだ。


国の場合も国家観を明確にしない選挙があってはならないと思う。

この期に及んでは。

そういう意味では 「軍事」とは、国家観を活性化する劇薬のような言葉である。

今の日本には、今となっても、共有されている国家観などは存在しないし、それを リードする政治家も現れない。


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