目指すラグビー

鮎原人

2013年01月19日 09:34

先日の花園決勝録画を見直した。
後半早々逆転のトライを決めて、10-14とした御所(gose)であったが、常翔の粘り強い連続攻撃に、自陣に貼り付けとなる。
危ない場面があったが、なんとかゴールラインを守りタッチにキックするも22mラインを超えることは出来ない。
常翔・重の巧みなボールさばきと常翔FW陣の着実なゲインに耐える御所。
ラックからやっとマイボールにし、タッチに蹴り出すかと思ったら、順目にボールを繋ぎ始めた。
向こう側はどうかと目をやると、ラインは出来ているが、常翔側もラインは組み上がっている。突破出来るのか? キックで出すべきではないのか? 
自陣で攻められ続けているため、誰もがそう思ったに違いない。
しかし御所は繋ぐ。結果、最後に捕まり、混戦の中ターンオーバーされ、反対サイドに展開した常翔が、大きく開いたスペースにWTB松井を送り込み、逆転のトライ。
このとき私は思った。やはり御所の攻撃が間違いではなかったのかと。あそこはキックで地域を挽回して一息つくところではなかったのかと。
御所のラグビーとは、ああいった展開でもボールを自陣からでも回すスタイルなのか。それを最後まで貫いたのか?
但し、前後の展開を見直す内に、常翔の出足に負ける御所のハーフ陣が目にとまる。蹴りたくても蹴れない状況。蹴ってもまた押し込まれるこれまでの展開。後半逆転はしたものの、常翔の勢いを削ぐまでには至ってない。むしろ自陣に押し込まれ続けている状況。このなかでの苦し紛れのボール回し、回されている感じ。
本当のところはわからない。

昔、東芝府中は自陣からでもボールを繋ぎ、100mでも繋ぎ切ってトライまでつなげるアタッキング・ラグビーを目指していたころもあった。
元神戸製鋼大畑大介は、高校FB時代監督に、絶対キックで逃げてはいけないと指導されていたと聞く。どんなに苦しくても、どんなにキック選択が有利だと思えても、持ってひたすら走るスタイル。自陣ゴールラインから100mを走りきって決めたトライもあった。ただし10回中9回走って、たった1回蹴っただけでも監督に叱られる指導。大畑は苦しかったと思うが、その下積みが日本代表になって、代表キャップ対象試合でのトライ世界記録保持者になる基礎を形作っていた。

だから高校時代というものはわからない。勝負の結果だけを見ていては早計なのかもしれない。
早稲田の本城のタッチキックラグビーに翻弄される明治。そんなスタイルが流行ったときもあったし、いまだにキック戦術は一級のプレイスタイルなのだが、高校時代というものは、何がその後の楕円球人生に役に立つかわからない。たとえ負けても、次の機会にはその負けたスタイルがチームの危機を救うのかもしれない。

御所のスタイルがそういった走るスタイルなのであれば、次は、そのスタイルで是非全国制覇をしてもらいたい。
そんな気持ちになる決勝戦であった。


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