陰影こそ。
谷崎の「陰影礼賛」を引用するまでもなく、
秀逸な写真には、被写体とその周辺との陰影が見事に切り取られている。
たとえば、丸窓
この窓などは、そもそも被写体どうこうよりも、もともとが陰影を考慮した設計になっていて、
暗い室内から明るい庭の眺めが独特の丸いアングルで切り取られた芸術作品だ。
それを忠実に再現すべく、写真家は時と場所を選んで最高の一枚を得ようと努力する。
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TVのショウや、ただ明るいだけの繁華街の表通りよりも、
じっくりと練られた構成の文芸作品や、路地裏の薄明かりの方が好きだ。
ただ明るいだけの海辺よりも、深緑にこもれる源流の方が好きだ。
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ラグビーの試合とて同じ。
スポットライトを浴びる決定的プレイよりも、
敗者が映し出されたシーン、
敗北が、彼らの背負ってきたラグビー人生をよりくっきりと投影しているような気さえする。
トーナメント
たった1つの勝利者とその他すべての敗北者
記録に残るのは勝利の方かもしれないが、
敗北して去る者にも
勝利を際立たせるに足る 美しい 「陰影」 が備わっている
高校ラグビーを見るたびに感じることだ。
その陰影も、準決勝、決勝のあと二回。
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